ADHD(注意欠如多動症)は日本人の7%~8%の方が当てはまると言われている症状で、欧米では20%もの人がADHDという話もあります。
注意欠陥、多動性障害は衝動的に言葉を発してしまったり、不注意だったり、多動性が出てしまうなど行動として症状が見られる障害が見られます。
「注意欠如多動症」 の中学生が勉強で注意すること
中学校では授業中、じっと机に座っていることができずに、注意が散漫になっていってしまう、時間への実感がうまくとれずに混乱してしまう、情報が複数になるとまとめることができなくなってしまうなどのケースが見られます。
多動性が多く現れるタイプの方と、多動性はあまりなく注意欠陥障害のみ見られる方があり、症状が軽度の場合は周囲に気づかれず大人になることもあるのです。
多動性や衝動性が優勢になっているタイプの方は同じ場所に留まるのが苦手で、つい動き出したくなってしまったり、おしゃべりを始めると途中でストップできずに一方的に話し続けるなどの傾向が見られます。
常に手足を動かし続けたり、衝動的に人を傷つける発言等をしてしまい、言ってしまった後に後悔するというケースもあります。
多動性は少ないけれど、不注意が優勢になっているタイプの方は落ち着きがなく集中することができないため、すぐに気が散ってしまい、人の話を上手く聞けない傾向があります。
また持ってこなくてはいけないものを忘れがちで、勉強に障ってしまうことも。手先が器用でなかったり、机やロッカー、部屋の片付けが苦手なことも多く見られます。
参考:ADHD(多動性障害)の特徴から中学生におすすめの勉強方法を探る
「注意欠如多動症」の中学生が国語の勉強をするときのコツ
さらにこの多動・衝動型と注意欠如型の両方の特徴を持つ混合型のタイプもあります。混合型の場合、早期の発見に繋がるケースも多く見られますが、一方で別の障害であるアスペルガー症候群と判断が難しい事があります。
こうした障害の特性を知った上で中学生での勉強方法を考えていく事は、ADHD(注意欠如多動症)の生徒さんにとってとても大切です。
国語の勉強では、漢字の書き取りや文章の読み取りなど、小学校に比べて難易度がましていきますが、ADHDのお子さんは集中してひとつの単語を暗記したり、概念を理解するのがとても難しい事があります。
衝動的に思いついたことを、そのまま信じ込んでしまい間違ったまま暗記してしまうこともありますので注意が必要です。覚えなければいけない漢字や、理解が必要な概念に対しては、じっくり向き合って腰を据えて教えていくことが求められます。
ADHDのお子さんはちょっとした刺激や物音に敏感に反応して、すぐに注意力散漫になってしまいがちですので、そうした環境の整備にも工夫をするのがよいでしょう。
参考:ADHD(注意欠如)の特徴から中学生におすすめの勉強方法を探る
ワーキングメモリーを考えることも大切
ADHD(注意欠如多動症)のお子さんに合う学習法にはワーキングメモリーがあります。
ワーキングメモリーとは短時間の記憶のことです。おつかいなどで買うものを一時的に覚えていく脳の働きは使い続けることで鍛えられ、学習面にも良い影響を与えます。
そこで国語の漢字や熟語などを書いて覚えてはテストしてチェックするという学習を繰り返していきます。書いて覚えてテスト、書いて覚えてテストと繰り返していくうちに、脳の中のワーキングメモリーが活性化されて、以前は忘れてしまいがちだった学習内容も定着していきます。
効率よくテストできるように、問題と答えが書かれている一覧の答え側を隠しながら行うなど工夫をすることで、自分でも達成感を持って取り組むことが出来るでしょう。
こうした国語の学習方法を実践するときには、間違えた問題に当たったら最初に戻って繰り返すということです。全部で10問、20問とある問題の途中で間違えれば1問目に戻って再びテストをします。
この繰り返しを行うことで脳の記憶を司る分野が筋トレの様に鍛えられ活性化することができ、暗記することが楽になっていきます。
参考:ADHDの中学生が塾へ通えないときに考えたい3つの勉強方法
国語の勉強にポモドーロテクニックを用いてみる
また長時間集中することが難しいADHD(注意欠如多動症)のお子さんにはポモドーロテクニックと呼ばれる学習法を取り入れることをおすすめします。
これは25分学習したら5分の休憩を入れ、休憩が終わったら全く別の勉強を始めるという学習法で、現在効果があると注目され始めている方法です。
集中できる時間に合わせて勉強時間を長くしたり短くして休憩を挟むなど工夫して取り組むことで、集中力を鍛え、学習の効率を上げていくこともできます。
ただし休憩後すぐに別の勉強に取り組むということは、とても難しいもので、つい遊んでしまったり、休憩が長引いてしまうなどの問題もあります。
やはりしっかりと時間を守って集中力を切らせずに学習できるよう、先生や親が監督者として見てあげることが大事です。
参考:発達障害の中学生にすすめたい3つの特性で考える3つの教材
「注意欠如多動症」の中学生が国語を勉強するときのコツまとめ
国語の学習をしっかりすることは、文章の読解力や他人の気持ちを推察する力も育て、他の社会や理科そして社会に出た時に必要な能力も育む事ができるものです。
上記に挙げた様々な国語の学習方法を取り入れて、ADHD(注意欠如多動症)のお子さんが集中力と達成感を持って学習していける環境を整えることが重要です。
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